研磨

まずドリル砥ぎで難しいと感じたことについて三つ述べる。一つ目は先端角を120度で維持しながら且つ中心線を軸として線対称となるように切れ刃の長さと半角の大きさを調整することだ。二つ目は逃げ角をつくる際どの程度で御の字とするのかの見極めである。あまり大きくすると穴が楕円になるし、かといって小さくすれば逃げ面が刃先よりも先に相手物に触れてしまい穴をあけられない。三つ目は深穴加工に有効なN形状へのシンニングの場合に切れ刃の先端部を削らないように気をつけることだ。

次に突っ切りバイト研ぎで私がどのように手こずったのかを、簡単な形状を例として引き合いに出して述べる。例えば前面はそのまま何も手をつけずに、上面と下面を見たときにそれぞれの面において台形をつくるように砥ぐのみとする。このとき切り落とされるのは三角柱である。そうなると上面と下面における台形は同じ形であるから、気をつけるのは上面を見たときに二つある逃げ角の大きさを等しくすること一つだけであり、これは簡単である。いっぽうで今回のバイト研ぎはどうか。先ほどの例の箇所で切り落とされるのは三角柱を二つ組み合わせた複雑な物体である。前面における二つある逃げ角の大きさを等しくする事と、幅が互いに異なる台形を有している上面と下面における二つの逃げ角の大きさを等しくする事の、計三つを気にする必要がある。さらに横面をみたときにぼこぼことしていないように一度だけで綺麗にする必要もあり焼いてもいけない。合計五つの注意点があることになる。それに則した砥ぎ方の骨がつかめず何個も粗悪品を作ってしまった。

最後に芯出しについて分かったことについて述べる。たとえばバー材の太さが、外径を削った後に、チャック側のほうで0.200(mm)であり、芯押し台側で0.500になったとする。そうなると真上から見下ろされたバー材は削られる前は右上がりであったことが分かるので、チャック側を固定させて芯押し台側を右上から下に0.150だけ移動させればよい。